元々、自分のルーツが徳之島の天城町にあって、いつか徳之島で自分のアパレルブランドのアトリエを作れたらな～と考えていました。体育大学を卒業後、青年海外協力隊でマレーシアへ派遣され、帰国後は日本の高校で体育教師をし、その後、イタリアに服飾デザインの修行へ行きました。イタリアでの修行中に、偶然徳之島出身の方と出会って色々なお話を聞くうちに、「これはもう徳之島へ行く運命だ！」と思ったことが移住を具体的に考え始めるきっかけでした。

イタリアから帰国後、さぁ徳之島へ移住するぞ！と決めた時に、実は天城町のお隣りの町で仕事が決まりかけていたんです。でも、途中でお仕事の話自体が無くなってしまって。どうしよう…と困っている時に、天城町で「地域おこし協力隊（移住コンシェルジュ）」の募集が出ていたのを見つけたんです。これだ！って直感で思ってすぐに応募しました。当時、世界的な感染症拡大の影響もあり、１日でも早く天城町へ来たかったのですが、移住するぞと決めた時から８ヶ月ほどでの引越しとなりました。

あえて言うなら、荷物の整理です。天城町に腰を据えるつもりでの移住だったので、大阪の実家には戻ってこないことを想定しての整理が必要でした。「島はカビが凄くて服も靴もすぐにカビるよ」と聞いていたので、日常生活に必要な最低限の物だけを厳選して送りました。

物があふれ過ぎず、適度な不便さが考えるきっかけをくれるのは、ここならではだと思います。また、疲れても満点の星空とダイナミックな景色が見られることです。 自分の人生で言えば、何かしらのカタチでモノづくりをしたいと思い始めてから10年ほどが経ちました。ここだ！と決めて、やっとブランドを立ち上げるためのスタートラインに立てたことです。 そして、壮大な自然をバックに、自分の手掛ける服の撮影ができること。都会じゃロケに出ないと出会えないので、贅沢です！ また「自分にしか制作できないんじゃないか」と思える、唯一無二を作り出すものに出会えたことです。

生活で不便と感じることはほとんどないです。慣れてしまえばそれが当たり前になるので、困ることもあまりありません。話は逸れますが、移住してきて未だに慣れないことは、ずばり「虫」と「ねずみ」です。本土に比べると格段に大きく、生命力も高い気がします。仲良くできればいいのですが、これからも仲良くなれそうにはありません。（笑） 仕事で不便だと感じることは、生活とは逆にたくさんあります。天城町で盛んな業種ではないので、仕入れ先はほとんどが島外です。その確保や送料を抑える工夫、仕入れ先に挨拶に行くにも時間がかかる…など、離島ならではの大変さがあります。想像はしていましたが、想像を上回ったなと思います。 ただ、道筋ができたときには、都会に出ないとできないと諦めていた次の世代の人たちが天城町で夢を叶えてくれるかもと誰かのきっかけになればと思っているので、「大変だー」と思いつつも頑張ることができます。

天城町移住コンシェルジュを３年務め、また自分の移住経験からお伝えできることは、「郷に入っては郷に従え」ということと、移住した先での自分の姿をきちんと想像することが大事だということです。 まず、地元の方と先輩移住者の言葉は、「結局そうだよな」と思うことが移住のサポートをする中で何度も起きました。「自分には起こり得ない。」は、ほぼ奇跡だと思った方がいいです。 そして「自分はこうなりたいから移住するんだ」という明確なビジョンが無いままに、「島暮らしってのんびりしていて楽しそう」などの曖昧な理由だけだと、移住後の生活は上手くいきません。移住後の「理想の自分の姿」をしっかりと思い描いてみてくださいね。 とはいえ、住んでみないと分からないこともあるので、柔軟な対応力が何よりも大事です！あなたの移住がより良いものとなりますように。

Laboratorio del MIHARUKA 洋服のブランドMIHARUKAをメインに、ウェルカムボード、看板制作、壁画などを届けています。 アトリエの見学は、完全予約制です。 MIHARUKAの商品は、アトリエにて購入、又は島外で開催するポップアップストアで購入が可能です。